アルファサード株式会社のやさしい日本語生成支援システム「伝えるウェブ」に関する特許です。
ホームページより引用。
アルファサードさんは、やさしい日本語に関するニュースをやさしい日本語で届ける「やさにちウォッチ」も始めています。
外国人にとって日本語の文書は難しいです。
例えば震災時に、日本語が難しくて必要な情報を受け取ることができないような事例がありました。
今回の特許のポイントは、日本語で難しい文末の表現を自動的に平易化する点です。
特許出願2021-90087
図4
文章やウェブページのURLを入力して日本語を平易にします。
このためにはまず原文を形態素解析します。
これは文を名詞や動詞、助詞などの最小単位に分けることです。
次に係受け解析により、この動詞の主語はこれ、というように文章構造を理解します。
図8
あとは図8のようなルールに基づいて、所定のパターンの文末を分かりやすいように変更していきます。
図13
図13は原文が平易化されていく一例です。
明細書にはいろいろなルールが開示されていますが、今回の請求項で特定されている例は文末の「~ましょう。」です。
「~ましょう。」には丁寧に行動を促す意味だけでなく、意思や推量を表す場合があります。
これを判断するために、主語に用いられている格助詞を見るようです。
明細書を引用します。
「【0074】文末換言処理によると、例えば「津波に注意しましょう。」というセンテンスは、「津波に注意してください。」と変換される。「ましょう」は、丁寧の助動詞「ます」の未然形「ましょ」および推量の助動詞「う」からなる語句である。このセンテンスは、注意する旨の指示を丁寧に表わしているが、「ましょう」を用いているので複数の人数で一緒に注意するように促しているように誤解されるおそれがある。そこで、このように変換することによって、誤解を防止することができる。
【0075】ただし、「ましょう」の直前の活用語尾に適宜、音便が用いられる。また、適宜、「てください」の「て」が「で」に変化する。例えば、「慌てずに進みましょう。」というセンテンスは、「慌てずに進んでください。」のように置き換えられる。」
「【0078】また、「ましょう」は、「私がやりましょう。」のような、意思を表わすセンテンスで用いられたり、「明日は雨が降りましょう。」のような、推量を表わすセンテンスで用いられたりする。これらの場合に「ましょう」を「てください」に置き換えると、本来の意味を損なってしまう。そこで、換言補完部105は、センテンスの文末の「ましょう」が意思または推量を表わす場合は、「ましょう」を「ます」に置き換える。なお、「ましょう」に対応する主語があれば、「ましょう」が意思または推量を表わすと判別することができる。これら2つの例においては、「私が」および「雨が」がそれぞれの「ましょう」に対応する主語である。これらの2つの例から分かるように、格助詞「が」が用いられている主語の場合に、「ます」に置き換える。したがって、「みなさんは、高台へ避難しましょう。」というセンテンスの場合は、「ます」ではなく「てください」に置き換える。」
請求項1は以下のとおりでした。
「日本語で記述されかつ文末が「ましょう」である原センテンスを平易化するセンテンス平易化システムであって、
前記原センテンスの構造を形態素解析および係受け解析によって解析する解析手段と、
前記解析手段によって解析された前記構造に基づいて、前記原センテンスの中の前記文末を、当該原センテンスの主語に格助詞「が」が用いられる第一の場合に「ます」に変換し、当該主語に副助詞「は」が用いられる第二の場合および当該主語が当該原センテンスに示されない第三の場合に「てください」に変換することによって、換言センテンスを生成する、生成手段と、
を有することを特徴とするセンテンス平易化システム。」
この請求項1に対し、審査官(成瀬博之さん)は拒絶理由を通知せず特許となり、2021年10月13日に特許公報が発行されました。
特許第6948046号の特許公報はこちらから。
特許査定等の情報はこちらの「経過情報」から。
なお、今回はこのブログの文章も「伝えるウェブ」によって分かりやすく直してもらいました。
以下に結果を転記します。
皆さんも試してみて下さい。↓
ホームページより他の文から利用して書きます。
アルファサードさんは、やさしい日本語についてのニュースをやさしい日本語で届ける「やさにちウォッチ」も始めています。
外国人にとって日本語の文書はむずかしいです。
たとえば地震による災害時に、日本語が難しくて必要な情報を受け取ることができないような例がありました。
今回の特許のポイントは、日本語でむずかしい文末の表現を自動的に簡単化する点です。
特許出願2021-90087
図4
文章やウェブページのURLを入力して日本語を簡単にします。
このためにはまず原文を形態素分析します。
これは文を名詞や動詞、助詞などの最小単位に分けることです。
次に係受け分析により、この動詞の主語はこれ、というように文章構造をわかります。
図8
あとは図8のようなルールに基づいて、決まった種類の文末をわかりやすいように変えていきます。
図13
図13は原文が簡単化されていくひとつの例です。
詳しく書いてある紙にはいろいろなルールが公開されていますが、今回の請求項で特定されている例は文末の「~ましょう。」です。
「~ましょう。」にはていねいに行動を進める意味だけでなく、考えや推量を表すことがあります。
これを決めるために、主語につかわれている格助詞をみるようです。
詳しく書いてある紙を他の文から利用します。
「【0074】文末換言処理によると、例えば「津波に注意しましょう。」というセンテンスは、「津波に注意してください。」と変えられます。「ましょう」は、ていねいの助動詞「ます」の未然形「ましょ」および推量の助動詞「う」からなる語句です。このセンテンスは、注意する旨の命令をていねいに表わしています。「ましょう」を使っているので2人以上の人の数でいっしょに注意するように進めているようにまちがった理解をされるおそれがあります。このようにおきかえることによって、まちがった理解をを防ぐことができます。
【0075】ただし、「ましょう」の少し前の活用語尾に時々、音便がつかわれます。また、時々、「てください」の「て」が「で」に変わります。たとえば、「慌てずに進みましょう。」というセンテンスは、「慌てずに進んでください。」のように置き換えられます。」
「【0078】また、「ましょう」は、「私がやりましょう。」のような、考えを表すセンテンスでつかわれたり、「明日は雨が降りましょう。」のような、推量を表すセンテンスでつかわれたりします。これらのときに「ましょう」を「てください」に置き換えたら、元々の意味を失ってしまいます。言いかえ補完部105は、センテンスの文末の「ましょう」が考えまたは推量を表すときは、「ましょう」を「ます」に置き換えます。なお、「ましょう」に対応する主語があれば、「ましょう」が考えまたは推量を表すと区別することができます。これら2つの例では、「私が」と「雨が」がそれぞれの「ましょう」に対応する主語です。これらの2つの例から分かるように、格助詞「が」がつかわれている主語のときに、「ます」に置き換えます。したがって、「みなさんは、高台へ避難しましょう。」というセンテンスのときは、「ます」ではなく「てください」に置き換えます。」
請求項1は下に書いてあるとおりでした。
「日本語で記述されかつ文末が「ましょう」である原センテンスを簡単化するセンテンス簡単化システムであって、
前記原センテンスの構造を形態素分析と係受け分析によって分析する分析方法と、
前記分析方法によって分析された前記構造に基づいて、前記原センテンスの中の前記文末を、当該原センテンスの主語に格助詞「が」が用いられる第一のときに「ます」に変換し、その主語に副助詞「は」が用いられる第二のときとその主語が当該原センテンスに示されない第三のときに「てください」におきかえることによって、言いかえセンテンスを作成する、作成方法と、
を持つことをらしさとするセンテンス簡単化システムです。」
この請求項1に対し、審査官(成瀬博之さん)は拒絶理由を連絡せず特許となりました。審査とはくわしく調べて、どうするか決めることです。2021年10月13日に特許のお知らせが発行されました。
特許第6948046号の特許のお知らせはこちらからです。
特許査定等の情報はこちらの「経過情報」から。
なお、今回はこのブログの文章も「伝えるウェブ」によってわかりやすく直してもらいました。
以下に結果を転記します。
皆さんも試してみてください。